モドル
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幸せのかたち

夢の中で、
 
 
 
私は老齢の男性ピアニストでした。
 
 
自身のリサイタルコンサートの帰り道、
夕焼けに向かって、息子夫婦と花束を抱えた孫娘二人の後をゆっくり歩いている時に思うのです。
 
 
 
「苦労も在ったけど、ずっと好きな事をして此処まで来た」
 
「最大限の努力をして、運にも人にも恵まれて、今の私が在る」
 
「死んだら終わりだと思っていた、その力も名誉も地位も肉体さえも全て無くす事になると」
 
「でも、それは違う、きっと」
 
「私の全ては子供達に、孫達に、友人達に、私の音を聴いてくれた全ての人に」
 
 
「私は幸せだ」
 
 
自身の生命が尽きる事が、何故か解りました。
 
その瞬間、私は道に倒れ、五感が全て遮断されました。
 
 
それで終わりでした。
 
 
 
 
 
 
 
 
未だ夢の中、
 
場所が変わり、人が変わり、私は現実の私と同じ私でした。
 
 
 
 
私は、現実で住んでいるのと同じ家で、
 
祖父が買って置いておいたポテトチップスを勝手に食べた事で文句を言われ、
 
 
 
「はぁ!?
 そんなに取っときたかったんなら名前でも書いとけば良かったんじゃないんですか!?
 在ったら食べるし! 意味わからんし!!」
 
と、逆ギレをかましていました。
 
 
 
 
 
これが一晩に一気に見た夢です。
 
 
なんか、自己嫌悪に陥りました。