TRUMBLE , roast |
|
「おはようございます、青八木サン」 空気も軽く清々しい春の朝、この校内で今最も遭いたくなかった男に出会ってしまった。 「………………」 「アンタ意外と目立つよな、やっぱ髪の色か」 朝練の為に部活棟へ向かう途次、 望むと望まざるとに拘らず出来た道連れとロードを引きながら進む。 どう返そうか、いっそこのまま無視しようか……迷ってる内に身体は勝手に動いていた。 隣を歩く銅橋正清からナナメに進み、歩幅にして三歩分ほど離れる。 「おい、なんもしねえから。 逃げんなよ」 肩へと伸びてきた手を避ける為、更に一歩分横にずれたのも、仕方の無い事だとは思う。 急な進路変更にレンガ地の舗装路と擦り合ったロードのタイヤが音を立てて、反射的に車体を浮かせた。 春学期が始まって最初の土曜日から考える事が増えたのも、この男の事を考えると鳥肌が立つような落ち着かない気持ちになるのも、全てはこの銅橋の所為だった。 「大体、今はただの後輩すよ」 「?」 「あのうるせーのが居ねェから」 あのうるせーの。 それは、今の時間なら千葉であちらも朝練に向かっているで在ろう…鏑木一差の事だ。 「……そう言うものなのか?」 「まぁ、三人で、つったのは俺だし…ただでさえ先越しちまったんでね」 ごちそうさんだよ、と鼻で笑う銅橋は腹立たしかった。 もし、大した事無かったよ、とでも続けたら後先考えず張り倒すところだ。 ――あの土曜日から始まった試しとしての『恋人関係』は、未だ解消されては居なかった。 「銅橋」 「…はい?」 俺が立ち止まると銅橋も止まって、此方に向き直った。 見合うような形になり改めて意識してみると、身体の大きさとか…単純な大きさだけでは無い筋肉の質や内包される力に威圧感を感じる。 癪だが、正面から押さえ付けられると動けない事も身を以て体感した。 「嫌がったら、しないって言ったな。 …俺は、当分、ああ言う事……と言うか、何も、したくないから」 だが、そんな事で恐れをなすのも情けない。 また屁理屈を捏ねられないよう、『屁理屈ブタ』に釘を刺す。 「…あのなぁ」 視線を逸らしてばつが悪そうに頭を掻く銅橋は全く柄の悪い輩そのものだったが、恐らく癖になっているので在ろうその仕草はどこか犬猫の転位行動を彷彿とさせる。 「……なんだ」 「当分、って言われたら、当分の先が在るのか、って、思うんですけど?」 「!?」 揚げ足を取られた。 そう言う事になるのか、一線を引いたつもりだった、今のが!? 「………………お前、ポジティブだな」 「ネガティブよかいいだろ」 呆気に取られながら、やはりもう少しと距離を取ろうとしたのは無意識だった。 ロードごと後退りするような姿勢になったのを恬然とした様子で見下ろされる。 「バンビちゃんは本当、食用肉だな」 「にく…」 喰われるって事か、いずれ!? 何故か嬉しそうに言う銅橋がロードの進行方向を変えてこちらに向かって来るから、俺は二歩後退する。 部外の生徒も多く通る大学の敷地内では降車がマナーだが、今は人気も少ない。 丁度手元に在るロードレーサーで逃げ出したくなる衝動に駆られるが、よく考えなくても相手もロードを携えていたし……そもそも目的地が同じだった。 くそ、冗談じゃない。 こんな関係、すぐにでも解消したらいいんだ。 …すぐにでも。 「食う?」 「…いただきます」 新開さんは、いつもエナジーバーをくれる。 部活棟の一階…自転車競技部に与えられた広い部室の一角で、机を挟んで目の前に座る新開さんがくれた包みを開けたのは、今から半日前の事だった。 「いつも貰ってくれるから嬉しいよ。 で、話って?」 練習後、引き留めた新開さんがくれたチョコレート味のエナジーバーを口にしながら、俺はどう話を切り出すべきか悩んでいた。 「………………」 新開さんは特に急かす事も無く、自分も新しい包みを取り出して開く。 休み明けに加えて新入生勧誘期間の只中で在る事も在り、普段より慌ただしかった部室には今はもう他の部員は居ない。 静まり返った場に落ち着かない気持ちのまま漫然と咀嚼している内に、貰ったエナジーバーはいつの間にか消えていた。 「あの、」 「うん」 「銅橋って、どんな奴…ですか?」 「銅橋?」 話を切り出すまでの一拍には長過ぎる間にも気分を害した素振りを見せない長閑な雰囲気に少し安心して、切り出した、切り出してしまったのはあの男の事だった。 新開さんは一瞬だけ意表を突かれたような表情をして、すぐに何か含みの在るような微笑みを浮かべた。 やっぱり、おかしかったか。 「ウチ、入ったんだよな。 入部届も出したって聞いたよ。 会ったのか?」 「はい…」 どうしよう。 件の銅橋から告白されて、ほぼ同時に別の奴にも告白されて、両方断ったら諦められないから試しに二人共と付き合えと言われて、承諾したらキスされてびっくりした。 …なんて、言えない。 言えないし、なんだこの情況。 今まで全くと言っていい程にモテなかった自分に急に起こるような事じゃないし、元々モテる人物……例えば目の前のこの人でも、こんな事様の真ん中に放り込まれる事はなかなか無いんじゃないか。 何にしても、俺の手には余る。 この事態を持て余した俺は、せめてと、銅橋と出身校が同じだった新開さんを捕まえてしまった。 鏑木の事は知っている。 でも、銅橋の事はよくは知らない。 何を考えるにしても、今までの接点をなぞりトーク履歴を眺めるだけでは考える材料すらも足りなかった。 …でも、不自然だったかも知れない。 泉田や福富さんにも訊く気で居たが、誰にも何も訊かない方がよかったか。 「銅橋、な。 面白い奴だよ」 「おもしろい、ですか」 「高校の時は入部と退部を繰り返してたし」 本題には触れずとも唐突に探りを入れてしまった事を半ば後悔していたら、いきなり第三者から聞き出す事が憚られるような突っ込んだ話が飛び出した。 自転車は過酷で地味なスポーツで、途中で辞める者も多い。 それよりは当然少ないが、辞めても辞められずに戻る者も居るだろう。 ただ、あの銅橋が何かを諦め挫折する光景はいまいちうまく想像出来なかった。 「あ、俺が知る限りでは一度もロードは辞めてないと思うよ」 「…掛け持ちしてたって事ですか?」 連想的に、純太に聞いた話を思い出す。 今は洋南に通う元箱根学園の黒田雪成、どんな競技でも即戦力になれる程に運動神経が良く中学の頃には部活の助っ人をして名を馳せていたそうだ。 そう言う事だろうか。 そんな事で入退部までする必要は無いと思うが、私学ならではの面倒な仕来たりが在ったり……するだろうか。 「いや、自転車部に入退部」 「………?」 「自主退部じゃないんだ。 部内で喧嘩して、ってやつ。 …あー、何回だっけかな、寿一なら正確な回数も覚えてる筈だよ」 訊くかい? と携帯を出されて、慌てて首を横に振る。 回数はこの場合重要で無い気がする、けど、 「それは…………」 「まぁ、喧嘩って言っても、ほら、ハコガクは大所帯だったからさ。 中には不真面目な部員も居たし、そう言うのに限って下級生いびりする事も在って、そう言うのとか、」 「あぁ……」 どう受け取ればいいのかは後で考えるとして、納得だけは出来た。 練習の辛さに逃げ出すよりは余程に 『らしい』 「あと、銅橋はフィジカルがあれだから、その感覚で以て他の奴に 「なんでもっと出来ねえんだ!」 ってなったり?」 「…………」 それは理不尽だ。 「短気と言えば短気だな、本人もああだからじゃれあい程度から暴力事件まで、衝突は多い方かな」 「………………」 何を訊こうとしていたのか自分でも解らなくなって来た。 鏑木が未だ本当に殴られていないのはもしかしたら奇跡に近いのかも知れない。 「んー、あとは、なんだろうな。 ああそうだ、真波、知ってるよな。 一緒に居るの見てたら面白かったぜ? ボケツッコミ一生やってる」 「……………………」 それだけは少し面白いかも知れないし、少しは知っている。 真波山岳の軽快な声が 『バシくん』 と呼び軽口を叩くその光景は記憶の隅に残っていた。 「根はいい奴だよ。 高校三年間で凄く変わったし、すぐ手が出るのも、もう無いと思う。 そうじゃなくても青八木はたぶん殴られないよ」 「はぁ……」 いっそ、殴られる事に怯えでもしていた方がマシだったかも知れない。 「…あ、あと、ハンドル曲げたりしてたな」 「!?」 「たくさん曲げてたぜー、直せるものは直すんだけど、部費が掛かって掛かってな。 それは今も変わってないんじゃないかな」 「それは今も変わってないんですか!?」 ここに来て、全く意味が解らない情報が飛び出した。 ハンドル…は、曲げるものなのか? 曲がるものなのか? 「な、 どう言う意味で知りたいのかわからないけど、人から話だけ聞いても解らないだろ?」 「!」 新開さんは机に置いてあったクリームパンの袋に手を伸ばしつつ、穏やかな表情をしたまま続ける。 「気になるなら、自分で見極めなきゃ、なっ」 そう言うと、五連になった小さいクリームパンをひとつ取り、此方に投げてくれた。 極短い距離でそのままでも机の上に落ちたで在ろうそれを机に落ちる前にキャッチした。 「……ありがとうございます」 「ナイスキャッチ、うまいよな? これ」 「はい」 「期間限定のはいつも買い逃すんだよなぁ」 袋を完全に開けて全て食べ尽くす体勢に入った新開さんを見て、お茶でも用意しようかと立ち上がって給湯器に向かおうとした。 「ちなみに、俺は好きだぜ? 銅橋」 背中に掛けられた声につい振り向いたら……バキュン、心臓を指されて、撃たれていた。 泉田が居れば何のバキュンなのか解説してくれるけど、今は居ないから…ただ撃たれた、としか判らない。 「仲良くしてやってくれよ」 にっこりと続ける新開さんに、どう返事をしたらいいのか……少し悩んで、失礼とは知りつつも軽く頷く事しか出来なかった。 ――その日の帰り道、corratec のハンドルを思いっきり握り締めてみたが…曲がる気配は無かった。 先日の事を思い出しつつ、隣を歩く銅橋を見る。 自分で見極めろとは言われたが、同時に情報もくれた新開さんの言葉を頭の中で繰り返す。 …取り敢えず、相当にしつこいと言う事だけは解った。 にしても、 「授業の形態とか単位の取り方とか、全然違うんすね、大学」 「…すぐに慣れる」 …………普通だな。 主に部活と大学の事を話しながら歩く銅橋は、あんな事が在ったと思えないくらい…普通だ。 距離を詰められはしたがそれもそれだけで、ロードを挟んで1m程の距離を普通に歩いている。 本当に、『三人で付き合う』を貫くつもりなのか。 しかし、あの告白が嘘だった、とも思えない。 好きと言われた。 好き…、か。 正直なところ、その感覚が解らなかった。 顔とか胸の大きさとか、表面的なものなら自覚する好みは在っても、実際に個人として女子を好きになった事は無い。 男を好きになった事も無い。 好き、家族や犬を好きなのとは違う。 それはわかる。 じゃあ、他、 家族じゃなくて犬じゃない、好きな相手。 ……純太、 純太の事は、どこからどう考えても好きだった。 純粋にいい奴だし、頭が良くて尊敬出来る。 何より、大切な相棒だ。 言葉でなんか表しきれない。 鳴子…、も、好きだな。 場の空気を掴めるほどに明るく気配りが出来て、俺には到底真似出来ないような話術に憧れに似た感情も持っている。 それなら勿論、小野田も好きだ。 人の良い部分を見つけて、それを手放しで誉められる。 人の嫌な部分が全く見えないのは小野田に無い要素だからだろうか。 今泉……とは、個人的に話をした事は少ない。 なんとなく総北での元レギュラーを挙げていたが、他のメンバーと比べたら関係は薄かった。 けど、溢れる才能と恵まれた環境が在っても驕り慢心する事無く必死で努力するあんな真面目で真っ直ぐな奴、好感を持つのが当然だ。 上に行けば、田所さんは勿論好きだし、憧れの存在だ。 色々食べさせてくれたり、今思えば先輩の域を越えて年の離れた兄のように、時にはお節介なまでに気を掛けてくれた。 その優しさは俺のみに向けられたものでは無かったが、それだけにその度量の大きさが身に染みる。 いや、それを言うなら、金城さんや巻島さんにも、 後輩は皆それぞれ我が強くとも可愛いし、大学の先輩や仲間だって。 部員に限定してしまうと男しか居なくなるが、そうで無くとも女の知り合いは少ない。 少ない心当たりは部のマネージャーくらいだが、その中でも特に目立つ存在で在るひとつ年下の寒咲幹を思い出した。 明るくて気が利いて働き者で、美人でスタイルが良い、非の打ち所の無い存在だ。 好きか嫌いかで言えば好きだろう。 …………でも、付き合うだとかキスをするとか、この先の人生を共に過ごすとか、 そんな欲求が在るかと考えると、どの 『好き』 も違った。 恋とも、愛とも。 ――じゃあ、鏑木。 鏑木もロードに関しては真面目だ。 明るくて、元気で、打たれ弱いくせに自分よりも人を気遣い放っておけないような、特別なバカ。 それに……、あんなお粗末な神様を本気で信じて、今も信仰してる。 可愛くないわけが無かった。 大切じゃないわけが無かった。 それも、恋じゃない。 ただ、鏑木は俺にとって眩しく焦がれる光にも似た、 たった一人だけの、確かに特別な後輩だった。 付き合うとかキスをするとか、そう言う事は解らない。 だが、この先を鏑木と共に過ごせる、その可能性だけは気分に甘く引っ掛かる。 …恋じゃないけど、愛なら、在るのかも。 それなら、銅橋。 今は予定の確認をしているらしく部活で入部時に渡される簡素な案内が書かれた紙を眺めながら隣を歩く男を横目で確認する。 銅橋は―― 個人的な接点よりも先に、ロードでの才覚、戦績が頭に浮かぶ。 少なくとも同年代スプリンターの中では全国トップクラスの実力の持ち主だ。 素行に問題が在ったと聞かされても、ハンドルを次々曲げて呆れられてると知っても、その輝きは曇らない。 いつか、メッセージのやり取りが続き始めた頃は、好感を持っていた。 粗暴でうるさく傲岸不遜、そんなイメージだったが、携帯の中で一対一で話す銅橋はそのイメージとはギャップの在る常識的な存在だった。 話も合ったし、口下手な俺の話を聞いて…ちゃんと話そうとしてくれる。 何故興味を持たれたのはわからないしあの時点でもその『好き』が影響していたなら少々複雑だが、有意義だったし……楽しかった。 自負する通りの実力を持つこんな男がずっと鏑木と意識し合う好敵手で居てくれたら、鏑木はもっと伸びる。 スプリンターは負けず嫌いだ。 『試し』の関係でも競わせたら、ロードにも良い影響が出る可能性は、在る。 「どうしたんすか、青八木さん? 難しい顔して」 「…………」 考えに気を取られて、ゆっくり歩くどころかまた止まってしまっていた。 今度は先程よりも近い距離で気付き立ち止まった銅橋に顔を覗き込まれる。 なに考えてるんだ、俺は。 そんな、人の気持ちを利用するような事。 何より……俺はどうするんだ、その後。 「……青八木さん」 「!?」 顔を上げると、近かった今よりも更に銅橋が至近距離に来ていた事に気付く。 土曜日の感触がフラッシュバックし、身体が竦む。 やばい。 また―― 「!」 「……ここ、擦り剥いてんのか」 そう言う銅橋は俺の前髪を掻き分けて、額を眺めていた。 味見をするように舐め回された、その感触。 思い出してしまった記憶に全身が粟立つような気分をどうにか治めて、注目されている額の傷に意識を遣った。 それは、銅橋に口内を蹂躙された後、倒れ込んだ時に地面と激突して擦った痕だった。 石にでも当たったか瘡蓋が出来ていたが、髪で隠れる場所で目立ちもしないから自分でも忘れてた。 「別に、すぐ治る」 「……本当に、悪かったよ。 意識…してもらいたかったんだ」 その手を振り払い身体だけで後退りながら、 見つからないと思っていたものを見つけられてしまった気恥ずかしさを呼び水にあの時地面に思いっきり倒れてしまった恥ずかしさまで思い出す。 ――実は、あの事はもう謝られていた。 パン屋でもその後も 『三人で付き合う』 事には誰も振れず、俺は銅橋とは特に話さず鏑木とばかり話していたし…それは銅橋も同じ事だった。 「単にしたかった、ってのも、鏑木を出し抜こう、ってのも在ったけどな。 とにかく、本当にもうしないです。 許可出して貰わない限り」 「………ん」 どうしていいか判らず、曖昧に返事をしてしまう。 あの日は、鏑木を帰した後に謝られた。 謝られてしまえば更に責めるような気にもなれず、この関係についても空漠とした状態のまま消極的継続としてしまっていた。 そもそも、あんな反応をしておいてなんだが……大した事はされていない。 俺ももう成人…はまだ遠いが、子供では無い。 大学生にもなれば、キスくらいでゴタゴタ言って、剰え倒れるような奴の方が笑い者なんじゃないか。 どんな経緯で在れ付き合うと了承した相手となら尚更だろう。 悶々と土曜日の事を思い出している内にあの時の気分まで思い出してしまい、顔に集まってしまった熱を振り切るように頭を振る。 「? …じゃあ、青八木さん的には…… 『三人で付き合う』 は継続でいいのかよ」 「『三人で』 …だろ」 鏑木が居ないこの場では話を進める事も納める事も出来ない。 そんなタテマエで、また消極的継続を選択してしまった。 見極める。 好きだと言われた事は、嬉しかった。 二人共知らない仲では無く、人としての好感と尊敬は持っていた存在だ。 見ていろと言われたらその通りにしてやりたい気だって在る。 でも…、見極めてる間に食べられたらどうしたらいいんですか。 ふわふわした前髪に人好きのする笑顔…それにクリームパンと一緒に、猟銃に撃たれてローストされる仔鹿までが脳裏に浮かぶ。 縁起でも無かった。 「ふうん、まぁ俺はどっちでもいいんだけどな」 「……いいのか」 ここには居ない先輩の発言を反芻するように思い出していたら、銅橋からは意外な発言が在った。 それは、フっても……いいって事か。 この状況から解放されると思うとその選択肢は純粋に魅力的で、不思議と居心地が悪かった。 瞑目して何も選択せずに逃げるような、ゲームのバッドエンドを思わせる強制終了の結末、そんな事が許されるのか。 「諦める気、無いんで」 …そうだ、人生はゲームじゃない。 この選択から逃げたところで先が在る。 喧嘩別れのように気まずくなるか、嫌われるか、……更に追われるか。 情報収集し予測した通りのしつこさを見せる銅橋のその発言は、この関係を終わりにしたら手段を選ばなくなるとも取れる。 …ぞっとするし、ぞっとしなかった。 2017/02/04(公開) |
|